2014 Taste of Tsukuba
~皐月の陣~
茨城県・筑波サーキット
5月11日(日)晴れ 路面:ドライ
サンクチュアリー本店レーシング
#39 PCM-240 Z RACER I
D.O.B.A.R. SUPER MONSTER EVOLUTION
予選:2番手(1分00秒183)
決勝:優勝(BEST TIME 59秒913)
ちょうど1年前にテイスト・オブ・ツクバに5年振りに復帰した
サンクチュアリー本店レーシング。大破し眠っていたZレーサー 1号機を再生し、平成生まれの2世代目のメカニック“セカンドジェネレーションズ”がZレーサー NEW1号機へと進化させ、新たなチャレンジを続けてきた。“70年代のスタンダードフレームで59秒台に入れる”という目標を掲げての挑戦だった。
それは決して平坦なものではなかった。練習走行直前に組み上げたエンジンをダイナモで測定していたときにトラブルが発生! 何とクランクシャフトが真っ二つに折れてしまっていた。それがシェイクダウン2日前のことだった…。
急きょ淡路のJ&J 上原社長にリビルドクランクシャフトを供給していただき、クランクの破損により傷ついたエンジンを修復。サンクチュアリー代表の中村博行の愛車Z1-R PCM-001シリンダーヘッドをNEW 1号機に移植し、何とか練習走行に間に合わせた。上田隆仁選手は、NEW1号機の状態を確かめながらペースを上げて行く。マシンセットはもちろん、上田選手はライディングスタイルを変えながらタイムを詰める。
決勝日は、雲一つない快晴に恵まれた。気温も上がり初夏のコンディションとなった。予想より気温が上がったためキャブレーションのセットも難しい状況だったが、そこは“セカンドジェネレーションズ”がうまく燃調を合わせ、メカニックとしての成長ぶりを見せていた。
公式予選では、クリアラップを取るべく真っ先にピットロードに並びコースイン。1分00秒台前半でラップするものの、1分の壁は、そう簡単に破れるものではなかった。それでも上田選手は、1分00秒183をマークし、ハーキュリーズクラスと混走で6番手、クラスでは2番手につけた。
「なかなか足回りを詰められないでいるので、最終コーナーを、うまくコーナリングできない状態ですね。そこさえ詰められれば59秒台は見えてくると思います」と上田選手は、予選終了後にコメント。筑波サーキットの最終コーナーは、ラップタイムを縮める重要なポイントであり、決勝に向けた課題は明白だった。
12周で争われた決勝レース。T.O.T.ならではの2周のウォームアップを終え、2列目イン側のダミーグリッドにZレーサー 1号機を着けた上田選手。シグナルがブラックアウトし、一斉に1コーナーを目指すモンスターマシン。上田選手は4番手につけ水冷最強ハーキュリーズのマシンに食らいついていく。一方、クラストップのイエローコーンのマシンは、スタートから失速し明らかにおかしい。マシントラブルが発生し、そのままピットインしてしまう。ハーキュリーズクラスのハイペースについていく上田選手は、何と2周目に59秒台に突入! ついに1分の壁を突破し59秒913をマークしたのだ。その後、ジリジリとトップグループには離されてしまい、背後には、ハーキュリーズのFZが迫ってくる。上田選手は、このFZをイエローコーンのマシンと勘違いしており、必死の防御を見せる。その後、後ろにいるのがFZと分かると前に出し、総合5位、クラストップでチェッカーフラッグを受けた。
「ずっとイエローコーンの亡霊と戦っていました(笑)。NEW 1号機は、決勝が一番いい状態でした。12周でもタイヤは厳しい状態だったので、アベレージを上げる走りを心がけました。ようやく59秒台に入れられたのでホッとしていますが、ペースが上がったら上がったで足回りに問題が出ましたね。ひとまず、頑張ってくれたメカニックに感謝したいですね」
表彰台の中央にセカンドジェネレーションの若きメカニックと共に上がった上田選手は笑顔を見せた。スタンダードフレームベースのPCM-240 Zレーサー NEW1号機で目標を成し遂げた2014年T.O.T皐月の陣となったのだった。